堪え切れない様に絞り出した、痛烈な叫び。
狭い一室に響き渡り、余韻は外の雨音に包まれた。
弾かれた様に立ち上がったジスカは、伸ばされた彼女の手首をいつの間にか掴んでいた。
………指の間に隙間が出来る程、その黒い革手袋に包まれた腕は細かった。
「…………ジスカ……?」
それはあまりにも突然で、何故こんな事を、という疑問よりも、まず何が起きたのかという事で、頭は混乱していた。
薄暗い中、唯一の蝋燭の明かりはジスカの背を照らしていた。
逆光で、彼の表情は愚か、姿形さえ曖昧な黒い影と化していた。
………だから、彼の顔が目と鼻の先にまで近付いていることに、トウェインは気付かなかった。
不意にグッと、痛い程強く掴まれていた腕を引かれた。
軽いトウェインの身体はすぐに前へ傾いた。
「……!?……………ジス…」
親しい友の名は、最後まで言えなかった。
言葉という言葉は全て、この時だけ、ジスカの唇に塞がれた。

