亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

一人の兵士として、トウェインとして生きてきた………ここを、アレスの使者を、何の断りも無く、出る。


それは裏切りとみなされる。



捕まれば、掟により逃亡者には処刑が待っている。








……………構わない。



「…………本気で…………言ってんのか……」




「…………今夜中に出て行く。“闇溶け”で身を隠すからな………夜明け前には離れないと…………」



何故、彼女はそんな事を平気で言い放つのか。
何故急に………。


「………自分が…何言ってんのか……………分かってんのか……………?」



「………覚悟は決めている………こんな事、冗談で隊長のお前に言う訳が無いだろう………」


トウェインは微笑を浮かべ、手元の帽子をくるくると回し始める。

「………………馬鹿な奴かもしれんがな…………………私は…………自分を知りたいのだ………ちゃんと……………思い出したい………………向き合わないといけないと…な」

「………だからって………!」

「………………ここにいては………駄目だと思うんだ…」



真実の自分を。失われた記憶を完全に取り戻すために………振り返らねばならない。