亡國の孤城 ～フェンネル・六年戦争～

トウェインは“闇溶け”で姿を消し、風に身を任せた。





…この辺りは風の流れが極端に早い。流されないように気をつけねば…。

脇には縦長い巨大な城壁。そこから漏れ出る城の光を避けながら、慎重に進んだ。


赤い松明が城壁の内側にちらほらと見える。
………警備は厳重。ここだけで数は20…30人。

城壁の下方で一部、巨大な岩や砂の山になっている場所があった。その状態になってから長い年月が経っているのか、表面は雑草や複雑に絡み合った蔓で覆われていた。

………クーデターの際に塞がれたという、城内への隠し通路だろう。………完全に塞がっている。過去、国家騎士団がこの通路を開けようとしたようだが、岩山はびくともしなかったらしい。………この城を取り囲む見えない壁のせいなのか。



…この透明な壁の力は何処も同じ。調べはついている。

………破る術は無いのだろうか？そもそもこの壁の力の源は？

………総隊長は御存じなのか…。



長年の調査でも、その辺りは分かっていない。

………分かっていても、どうすることも出来ないでいるだけなのかもしれない。


………総隊長は何もおっしゃって下さらない。