亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

くるりとトウェインの方に向きを変え、ローアンは首を傾げた。



―――…私のこと……覚えてないの?






まただ。………この不思議な問い掛けは終らない。

トウェインはゆっくりと左右に首を振った。


―――……私は………知らない。………ローアンなど…。


―――…寂しいわ。ずっと待ってるのに。

ほんの少し寂しげな笑みを浮かべ、ローアンはトウェインに歩み寄った。


………真正面に来た時、ローアンはトウェインにそっと抱き付いた。


………か細い腕がトウェインの腰に回る。

小さな子供が母親に甘えている様な…。



―――………早く思い出して。………知らないなんて…そんなこと無いもの。


ローアンはトウェインの身体に顔を埋めた。



―――………時が………近いわ。………大丈夫よ…………すぐに…元に戻るから。もうすぐ私のこと…思い出すから。


―――………時?…………私は…。


ローアンはくすりと笑った。


―――………すぐに思い出すわ。……………だって貴女は………。





















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