足下に白い靄がまとわりつく。
それは春風の様に暖かくて、優しい。
歌が聞こえる。
何処か懐かしい、オルゴールに似たか細い歌声。
真っ白な世界。
ふと前を見ると、いつもの様に、赤いドレスのあの少女が立っていた。
可愛らしい小さな白い花を両手で握り、歌を口ずさんでいた。
………少女は、ローアンは、トウェインに向かって静かに微笑みかけた。
―――この花を知っていらっしゃるかしら?
そう言って、白い花をトウェインに見せた。
絹の様なきめ細かい花弁。
―――……ローアン…私はお前など…。
―――知らない。
……そう言う前に、ローアンは急に踵を返して小走りで駆けて行った。
小さな背中は靄の中に消えて行く。
―――こっちよ。
…呼ばれているのか。
半ば無意識で、トウェインはローアンの元へ向かった。
―――ほら見て。綺麗な花畑でしょう?
ローアンの正面には、一面真っ白な花畑が広がっていた。
風など無いのに、純白の群れは左右にフラフラと揺れる。
―――素敵でしょう。ここは……いろんな思い出が詰まっている場所なの。
それは春風の様に暖かくて、優しい。
歌が聞こえる。
何処か懐かしい、オルゴールに似たか細い歌声。
真っ白な世界。
ふと前を見ると、いつもの様に、赤いドレスのあの少女が立っていた。
可愛らしい小さな白い花を両手で握り、歌を口ずさんでいた。
………少女は、ローアンは、トウェインに向かって静かに微笑みかけた。
―――この花を知っていらっしゃるかしら?
そう言って、白い花をトウェインに見せた。
絹の様なきめ細かい花弁。
―――……ローアン…私はお前など…。
―――知らない。
……そう言う前に、ローアンは急に踵を返して小走りで駆けて行った。
小さな背中は靄の中に消えて行く。
―――こっちよ。
…呼ばれているのか。
半ば無意識で、トウェインはローアンの元へ向かった。
―――ほら見て。綺麗な花畑でしょう?
ローアンの正面には、一面真っ白な花畑が広がっていた。
風など無いのに、純白の群れは左右にフラフラと揺れる。
―――素敵でしょう。ここは……いろんな思い出が詰まっている場所なの。

