亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~







「…………」


塔の窓から、トウェインは真下を見下ろしていた。

かなりハードで酷な訓練だ。

イブの方は、使い魔の蜘蛛まで出している。既に何人か噛まれたのか、痙攣して倒れている人影がちらほらと見える。


ダリルの方は…血生臭い状態だ。腕やら足を喪失して苦痛に呻く兵士の声、飛び散る鮮血。



………どちらも死と隣り合わせだ。




トウェインは自室へ向かい、固く冷たいベッドに身体を投げ出した。

最初から室内にいたトゥラが、鼻先を押しつけて甘えてきた。

「………今夜は偵察なんだ。少し寝かせてくれ………」

そっと頭を撫でた後、着替えもせずにトウェインは瞼を下ろした。








最近、あまり眠れない。















………夢も……ここ最近は見ていない。















…………。


























重い身体が、空気の様に軽く感じた。




………気がつくとちゃんと立っていて………見回せばそこは、真っ白な世界。









……………ああ………またここだ。








……………夢………か。