思いっ切り背中を地面に打ち付けてグッタリとしているジスカの襟首を掴み、トウェインはおもむろに引き摺っていく。
「………………てめ……………まだ療養中の俺に………しかも折れている肋骨に……なんちゅう…………」
「―――……聞こえんな。おや、何やら痛そうだな。今夜の偵察に響かない様に…早く寝てろ、スカが」
トウェインとジスカは塔の中に消えた。
そんな中、イブは「この野郎おぉぉ!!」と憎悪をむき出しにした鬼達から逃げていた。
塔の壁を四足歩行で、重力や平衡感覚を無視して楽しそうに走る。
突如“闇溶け”で真正面に現れる兵士を、次々と飛び越えて背中に蹴りをお見舞いしていく。
高い塔から、悲鳴をあげながら落下していく兵士が続出した。
………その悲惨な光景を眺める、二手に分かれたもう一方のグループ。
茫然と見ていた兵士達数名の頬に、小さな痛みが走った。
驚いて頬に触れると………うっすらと皮膚が切れ、赤い血の線が出来上がっていた。
「―――そこ、よそ見しない」
短剣をクルクルと指先で回しているダリルが、鋭い声で言った。
…………相手はどう見ても子供。まだ小さい、13の子供。…………なのに…怖い。

