人間の跳躍力など比にならない。
約10メートル上の塔の壁に、爪を立ててしがみついた。そのまま、妙な鼻歌を口ずさみながら屋根へどんどん上がって行く。
…………。
どうすれば良いのか分からず、兵士達は見上げたまま、固まっていた。
低い塔の屋根に上りきったイブは、真下の兵士達に向かって茶化し出す。
「ここまでお出で~若者よ~。若いだけが取り柄のヘタレよ~」
……………。
約半数がピクリと動いた。
「―――ハァーゲハゲハゲハゲ予備軍~。見る見るうちに、ハラハラと~」
…………半数が顔をしかめた。
「―――あっちもこっちも甲斐性無し~。ふけ顔ふけ顔モテなさそ~」
………半数…以上が無言で武器を取り出した。
「単純淡泊単細胞~。ジスカと同じ、スッカスカ~」
「―――なっん…だとぉぉ!!!」
ちょっと様子を見に来た、バッドタイミングのジスカが叫んだ。
「スカスカ言うな!!何度も言っただろうが!!人の名前でからかうのは良くない!!そういうのがいじめに繋が…るううううぅぅ!!??」
トウェインの華麗なる回し蹴りが、ジスカの腹部にきれいに入った。
ジスカは砂埃を巻き上げて吹き飛んだ。

