何故にマリアとの握手券。
温和で美人なマリアは、実は結構慕われていたりする。イブはそこに目をつけた。
「良いでしょ―。マリアの暖かい包容力で癒されて下さ……………………………………ひぅっ…!!??」
突然の背筋が凍る様な寒気。悪寒。
………ただでさえ気配に敏感なイブは震えた。…そぉっと隣りを見上げると……………………物凄く冷たい視線で睨むベルトークさんと、目が合った。
「……………あの―…?」
「………………ふざけるな」
「(……???)――――……………前言撤回します!!!ビシビシいきます!!行くぞ野郎共!!」
少しふざけ過ぎたか?と思いつつも、イブは頭を切り替えた。
「まあこの大人数なので、さすがのあたしでも5分と保たないね。というわけで~、ちょっと化けの皮を剥すね―」
そう言うや否や、イブはその場で帽子とブーツ、手袋を脱ぎ捨てた。
あの子何してるの?と兵士達は皆互いに顔を見合わせる。
イブは大きく息を吸い………ゆっくりと、小刻みに吐き出した。
開いた小さな口から、白く濁った吐息が漏れた。
瞬間、その口に、真っ白な長い牙が………生えた。

