亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~




とっくに日は高いのに、それでも薄暗い沈黙の森。塔の外は夜同然だった。

………第1部隊と第3部隊の隊員は皆、ごくりと息を呑んだ。


「―――んじゃあ、本気でお願いしまっす!!あたしも容赦しないから~」

イブはかなり上機嫌で、ベルトークの隣りでくねくねとしていた。

背後に控えるトウェインは頭を抱える。

「……今から大きく人数を分ける。片方は“闇溶け”をそこのダリル=メイから。もう片方はこっちのイブ=アベレットから。………この様な合同訓練は初めてだ。トウェインからいくつか諸注意がある」

ベルトークに目で促され、トウェインは渋々前に出た。

やや緊張気味の兵士達をぐるりと見回しながら、咳払いを一つ。


「―――………先に言っておく。……………………………すまない」

本当に申し訳無さそうに、残念そうにトウェインは呟いた。

「………すまない。本当にすまない。………この二人に悪気は無いんだ………全く」

………静寂が漂った。


「やっだぁ隊長ったら。どういう意味ですか―?」

「……さり気なく失礼だね、隊長」

「………諸注意を言う。………骨折程度で……出来る限り軽傷で帰りたければ………よく聞く様に………」