亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「………………パラサイトは………いつ成樹してもおかしくない状態です。………………つい先日、本人が身体の痛みを訴えてきました………………枝が………もう………」

トウェインは顔を上げた。

「………パラサイトは、あと二回…一回が限度であると思われます。襲撃の際は“解放”を使うと本人は言い切っています。………………戦力においては何も問題ありません」

……………残酷だが…………仕方無い。

「………そうか」

ベルトークの表情に一瞬影がさしたが、すぐに戻った。

「………襲撃での各隊の配置場所はまだ未定だ。……後日、総隊長から直々に説明がある。…………それと……今朝の騒動の事だが…バリアンの間者が出たそうだな」

「はい。サラマンダーが一匹。………城とこの塔の上空を飛来しておりました。撃退しようとしたのですが………逃げられました」

「………深追いはするな。………何をしてくるかわからないからな」


ベルトークは手元の資料を閉じ、テーブルに置いた。

「……ダリル=メイとイブ=アベレットの2名のみ、本日の第1、第3部隊の野外訓練に出すこと。………監視は私だけで充分だ。ジスカとトウェインは今夜の偵察に備えておくように」