亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

ここフェンネルはもう魔の者は滅んでいるが、王のいるバリアンには、魔の者は健在だ。

あちらの国は魔法、魔術が幅広く伝わっているため、武術を志す兵士達のほとんどは魔力を扱う。


………敵に回せば厄介であることは間違いない。




「―――………一匹だけだったみたい」

「偵察かなぁ?…国境とかじゃなくて堂々とこの辺徘徊してたよ。城周りとか……」

イブは耳を澄ませ、くんくんと鼻を動かした。
………気配はすでに無い。



「…………クーデター辺りからだよな。………偵察が多くなったのは。あちらさんもこの戦争には興味津津の様だな………暇そうだな」

ジスカはポイッと弓を部下の元に投げた。
まだ騒々しい塔外の部下達に、戻れ、と手を振って合図をした。

「………空飛んでみたいなぁ。…この国にはあんなでっかい鳥いないし………陸路だけかぁ」

イブはそろそろと塔の屋根から降りた。ダリルも続いた。

「………ベルトーク隊長に報告だ。…夜明け頃に軍議があったな?」
















変わらず開かれる軍議。

朝日も差し込まない暗い室内に、隊長クラス用の黒い長椅子が六つ。

………以前まで二つだった空きが、今はまた一つ増えていた。