亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


国家騎士団に入団したのは、成人してすぐの事だった。

国の象徴である誇り高き騎士団。

しかしゴーガンは、国のためだとか、治安維持のためだとか、そんなことは念頭になかった。

ただ、一人の農民で生涯を終わらせたくなかっただけ。
誰よりも強く、自由に。

掟や規律は面倒だったが、剣を振り回す機会があるのならどうってことなかった。


回りは皆ひ弱に見えた。きつすぎる訓練では、体力が保たず、倒れるものが続出していたが、ゴーガンは平気だった。

剣術もぐんぐん上達した。
一年余りで、ゴーガンに敵う者はほとんどいなくなった。









………一人を除いて。












同じ時期に入団した人間の中で、一際目を引く男がいた。



男のくせに色白で、細くて、色素の薄い金髪は女みたいに艶があった。

………冷たい目をしていた。
誰とも口をきかず、何者をも寄せ付けないこの男は、ゴーガンと同じく目立っていた。

ゴーガンの剣術の要が怪力なら、この男は光のごときその速さが要だった。


………ベルトーク=リンクス、とかいった。

他人の名前など面倒で覚えないゴーガンだったが、この名前だけはしっかりと頭に刻んだ。