亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


―――その状態がしばらく続いた。

ゴーガンの怒りは治まるどころか、どんどん増していた。

少しだけ乱れた色素の薄い金髪から、何も変わらない、冷たいエメラルドアイがこちらを見ていた。


……見下されている。愚かな男だ。………この男は間違いなく、そう思っているのだろう。


………昔と変わらない。
こいつの、気に食わない性格も、態度も、この目も……………総隊長の…信頼も。







………気に食わない。









………俺は……こいつを…超えられない。

これからも……ずっと。














「―――どうした」




ベルトークが不意に口を開けた。





「―――目が、怯えているぞ」











「―――っ!!」





ぶち切れた。

醜い怒りを制御していた細い糸が、音を立てて切れた。







ゴーガンは空いている手を伸ばした。





―――真っ黒な煙が一瞬立ち込めたかと思うと、片刃の巨大な剣が現れた。


ゴーガンは剣の柄を握り締めた。







「―――おいおい…!?」

「―――ゴーガン隊長…!」


剣を出した時点で、これはもうただの口論では終わらない。