亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「……なんだとっ!!…………やりたい放題決めやがって………!どうして俺が主要任務から外されなきゃならねぇんだ!!」

ゴーガンは壊れかけているテーブルを蹴り飛ばした。

足の折れた元テーブルは、トウェインとジスカの足下に散らばった。

……物凄い険悪な形相のゴーガンを、ベルトークは冷ややかな目で見詰める。


「……言っておくが………これは私の独断では無い。………………総隊長の指令だ。………今日頂いたばかりのな」

「―――なっ…!?」

……ゴーガンは目を丸くした。

………総隊長が?

総隊長が……俺と小娘を………。



「………となれば……異議など無用だろう?…………座れ、ゴーガン。軍議の最中…私語は慎め」


ベルトークはうっすらとした笑みを浮かべた。




………嘲け笑ってやがる……!!




「………この野郎っ……!!」

ゴーガンは椅子を倒し、佇むベルトークの胸倉を掴んだ。




………トウェインとジスカは椅子をほんの少し後退させ、距離を取り………横目で互いを見やった。


ジスカもこの事態にお手上げ状態なのか、汗を掻いている。

トウェインはきちんとした姿勢のまま、二人をただただ傍観することしか出来なかった。