亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



「―――なんだ?………異議でもあるのか?」

「……大有りだ!!」

広げられた大きな地図が乗ったテーブルに、ゴーガンは拳を叩き付けた。


テーブルには亀裂が生じ、細かい木片が辺りに散った。

飛んで来た木片を、ジスカは資料の羊皮紙で軽くはわいた。
トウェインは姿勢を正したまま、険悪な二人の様子を傍観していた。



………今まででも時々、ゴーガンが腹を立てて険悪なムードになった軍議は数多くあったが……………今回のは…なんだか違った。




ゴーガンは苛々しているのではない。

……………激怒している。














――――……なぁ……な―んでこんな…今日は不機嫌なんだよ…?

“闇溶け”による意識だけの思念伝達で、ジスカの声が聞こえた。



――――知るか。

―――………はぁぁ……俺だけ抜けて良い?こういう時のこのおっさん……手が付けられねぇからなぁ…。………………部屋に帰りた―い……。


―――……帰っても良いが…後が怖いぞ。


―――………はぁ―………。


ジスカは明後日の方向を見ながら頭を掻いた。

















「………異議だと?……………下らんな。勝手に騒いでいろ」