………目に映るそれは……現実でしかなかった。
……そこにあるのは右足。
しかし、膝から下は、人の足ではなかった。
枝。
蔓や枝が絡み付いて出来た、獣足の形をした足。
枝と枝の隙間から小さな葉が見え隠れしている。
それは陽光の下で、静かに蠢いていた。
……スカートを太股まで捲って見ると、白い肌にうっすらと、明らかに血管とは違う赤い管が透けて見えた。
………血管と神経が、完全に繋がっている。
………身体に、枝が浸食していた。
枝に触れると、ざらざらとした感触が伝わってきた。
マリアは唖然としていた。
「………我が隊のベルトーク隊長がなされた。………嫌なら良い。ただ………その寄生植物があるから、お前は今生きている。………取り除けば、死ぬことになる…………………生きるも死ぬもお前の勝手だ。だが、忘れるな…」
少女は真っ直ぐマリアを見据えて言った。
「生きたいのならば、それなりの覚悟が必要だ。………どんな形でも……生きている。生きる事に、形など関係ない」
………この娘は…。
「……ええ」
マリアは柔らかな笑みを浮かべた。

