―――…それは一秒にも満たない時間の中での光景だった。
木々の隙間から突如現れた巨大な口。
何列も、何重にも並んだ鋭い牙は黒い唾液を絡ませ、目の前にいた仲間の頭にかぶりついた。
そのままずるずると全身を飲み込んでいく。
―――食らっている。
―――もう一匹潜んでいたのだ。………一匹だけかと思って油断した。
………それとも…最初に倒した影は、囮だった?
………そんな…まさか………影に知恵などある筈が…。
「―――ちっ…!」
考えている暇は無い。気付けば、周りの茂みからぞくぞくと黒い塊が這い出て来ているではないか。
その数、およそ十匹。
今隊員は分散している。二人でこの数を相手にするのは………危うい。
「……一時撤退するぞ!“闇溶け”を…!」
瞬間、四方八方から影が飛び掛かって来た。這って移動している際の速さとは比にならないほど素早い。
獣型の影が、牙を剥き出しにしてきた。
「―――このっ!」
剣を横薙ぎに払い、横一線に両断した。
一度に三匹の影を切り捨てたが、影は溢れる様に次々に飛び掛かってくる。
切りがない。
木々の隙間から突如現れた巨大な口。
何列も、何重にも並んだ鋭い牙は黒い唾液を絡ませ、目の前にいた仲間の頭にかぶりついた。
そのままずるずると全身を飲み込んでいく。
―――食らっている。
―――もう一匹潜んでいたのだ。………一匹だけかと思って油断した。
………それとも…最初に倒した影は、囮だった?
………そんな…まさか………影に知恵などある筈が…。
「―――ちっ…!」
考えている暇は無い。気付けば、周りの茂みからぞくぞくと黒い塊が這い出て来ているではないか。
その数、およそ十匹。
今隊員は分散している。二人でこの数を相手にするのは………危うい。
「……一時撤退するぞ!“闇溶け”を…!」
瞬間、四方八方から影が飛び掛かって来た。這って移動している際の速さとは比にならないほど素早い。
獣型の影が、牙を剥き出しにしてきた。
「―――このっ!」
剣を横薙ぎに払い、横一線に両断した。
一度に三匹の影を切り捨てたが、影は溢れる様に次々に飛び掛かってくる。
切りがない。

