亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「………そうか。………」

ベルトークはすっと立上がり、置いていた錠剤をマリアの前に突き出した。


「………これを飲んでおけ。………それだけだ…」

マリアは無言で錠剤を受け取り、ありがとう御座います、と頭を下げた。


「………次の襲撃まで、まだ時間がある。それまではむやみにパラサイトを成長させるな。………………使える様にしておけ」


道具としか思ってない様な言葉。

………自分の存在価値はこの殺人兵器があってこそのもので、使えなくなれば用無し。


………その通りだ。

マリアは自嘲的な笑みを浮かべ、錠剤を持って立ち上がった。

ベルトークは今から仮眠に入るらしい。填めていた片目レンズを外し、テーブル上の積み重なった本の上に置いていた。


「………それでは…失礼します……」


マリアは敬礼し、ドアの方へ向かった。


ドアの取っ手に手を掛けようとした時、ベルトークの手が先に取っ手を掴み、ドアを開け放った。


ドアを支えたまま、ベルトークは無言で顎を引く。


………この男は妙な所で紳士的な一面を見せる。
と言うより、根が紳士なのだろう。



「………ありがとう御座います……」


マリアは軽く頭を下げた。