「………そうか。………」
ベルトークはすっと立上がり、置いていた錠剤をマリアの前に突き出した。
「………これを飲んでおけ。………それだけだ…」
マリアは無言で錠剤を受け取り、ありがとう御座います、と頭を下げた。
「………次の襲撃まで、まだ時間がある。それまではむやみにパラサイトを成長させるな。………………使える様にしておけ」
道具としか思ってない様な言葉。
………自分の存在価値はこの殺人兵器があってこそのもので、使えなくなれば用無し。
………その通りだ。
マリアは自嘲的な笑みを浮かべ、錠剤を持って立ち上がった。
ベルトークは今から仮眠に入るらしい。填めていた片目レンズを外し、テーブル上の積み重なった本の上に置いていた。
「………それでは…失礼します……」
マリアは敬礼し、ドアの方へ向かった。
ドアの取っ手に手を掛けようとした時、ベルトークの手が先に取っ手を掴み、ドアを開け放った。
ドアを支えたまま、ベルトークは無言で顎を引く。
………この男は妙な所で紳士的な一面を見せる。
と言うより、根が紳士なのだろう。
「………ありがとう御座います……」
マリアは軽く頭を下げた。

