重い瓦礫の下から、それは這い出て来た。
「―――ルア!」
今にも倒れそうなルアにキーツは駆け寄り、埃塗れのその身体に触れた。
ルアは千切れんばかりに尻尾を振り、鼻先を押しつけて甘えて来た。
―――生きていた……。
「――良かったなルア………。………………………………ローアンは……」
ルアは弱り切った身体を起こし、角の青い玉を光らせた。
ルアは超音波の様な周波数を出して何処に誰がいるのか探知することが出来る。
ルアはローアンを探している様だった。
………青い光に、何の反応も無かった。
「………ルア……もういいから………ボロボロじゃないか…………………もういいよ。…………………………分かってるから……」
キーツはルアを抱き締め、真っ白なルアの身体に顔を埋めた。
………必死に堪えようとしているが、それでも漏れてしまった泣き声。
ルアはくぅん、と鳴いた。
「―――もしや……ゲイン侯爵では…」
何処からか、ぽつりとそんな声が聞こえた。
キーツは涙で汚れた顔を上げ、アレクセイは声の主に振り返った。
それは四方八方から。

