亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

キーツとアレクセイは長い廊下を渡り、螺旋階段を降り続け、ようやく城から出た。


抱えられたキーツは、叫び続けていた。






「………嫌だああ!!………ローアン!…ローアン!!………アレクセイ……行かせてくれ!……行かせて…」

キーツはここまで来る途中で、アレクセイが自分に言った言葉を思い出していた。





―――侯爵家が何だ!だから何なんだ!

だからって……僕が助かることに何の意味があるんだ!!


国が滅びれば…王が殺されれば………身分なんて無くなるんだ!


僕は………!!





























背後から、真っ白な光が溢れた。


城壁の外に出ていたキーツ達。






キーツの目に、城の輪郭さえ消してしまうほどの真っ白な光が映った。












城が純白に、内部から発光し、夜の闇をも包み込み…。







そして。


























爆風に似た大きな衝撃が広がった。








沈黙の森の木々は暴風に煽われて傾き、大地は砂埃を散らし、城壁の破片や小さな小屋を吹き飛ばし、空気を激しく揺るがした。





大地が震えた。