遠くに見える彼女は王の腕の中で、震える小さな口を動かした。
―――…『キーツ』
呼ばれた様な気がした。
大粒の涙を流し、頬を濡らして、僕を。
殺される。
彼女が。
ローアンが。
……みんな……この男のせいだ。
この男さえいなければ。
みんな………。
―――殺さないで!
―――充分だ………充分だろ……!!
「―――っ……クライブ!!」
キーツは剣の柄を両手で握り締め、叫びながらクライブに向かって走った。
急に突進して来たキーツに、ゴーガンは好都合と言わんばかりに立ち止まって剣を構えた。
「――ぁぁああああああああ!!」
キーツは一心不乱に走った。
死んでもいい。
僕はいいから。
だから。
もう止めてくれ。
彼女を…………殺さないで!!
僕は……………………死ぬ……。
「あああああああ!!………っ!?」

