キーツの中で、何か……暗がりにたった一つあった眩しい灯の様なものが、消えた。
音も無く。
「…………クライブ…」
無意識で呟いた言葉は、聞いて欲しい者の耳には届いているのかいないのか。
クライブは、振り返らなかった。
彼の傍らには二人。
あの氷刃のベルトークと、同じ位嫌いな凶刃のゴーガンだった。
野獣と見紛う赤い眼が、呆然と立ちすくむキーツを捉えた。
ゴーガンは肩に抱えていた巨大な剣を下ろし、ゆっくりとキーツに向き直った。
にやりとほくそ笑むゴーガン。
―――殺される。
―――逃げないと。
―――逃げないと。
もはや恐怖など感じなかった。
足は震えっ放しだし、汗は止まらない。走り過ぎて喉と肺がカラカラに乾いている。
キーツの中にあるのは……困惑と、怒り。
ゴーガンが近付いて来ても、それは変わらなかった。
キーツの視線は、始終クライブに注がれていた。
………その曖昧な視界の中で、キーツはふと、視線を感じた。
―――ローアンが、僕を見つけた。
澄み切った、青い綺麗な瞳が、僕を。
音も無く。
「…………クライブ…」
無意識で呟いた言葉は、聞いて欲しい者の耳には届いているのかいないのか。
クライブは、振り返らなかった。
彼の傍らには二人。
あの氷刃のベルトークと、同じ位嫌いな凶刃のゴーガンだった。
野獣と見紛う赤い眼が、呆然と立ちすくむキーツを捉えた。
ゴーガンは肩に抱えていた巨大な剣を下ろし、ゆっくりとキーツに向き直った。
にやりとほくそ笑むゴーガン。
―――殺される。
―――逃げないと。
―――逃げないと。
もはや恐怖など感じなかった。
足は震えっ放しだし、汗は止まらない。走り過ぎて喉と肺がカラカラに乾いている。
キーツの中にあるのは……困惑と、怒り。
ゴーガンが近付いて来ても、それは変わらなかった。
キーツの視線は、始終クライブに注がれていた。
………その曖昧な視界の中で、キーツはふと、視線を感じた。
―――ローアンが、僕を見つけた。
澄み切った、青い綺麗な瞳が、僕を。

