一歩近付く度に、距離を詰める度に、素姓の知れない敵の姿が鮮明になってきた。
真っ直ぐ伸びた細身の長身。
握られた長い剣。
闇に溶け込む真っ黒な軍服。
肌に感じるピリピリとした殺気。
………真っ白な……長い髪。
キーツの足が少しずつ……速度を緩めていった。
その距離およそ10から20メートル。
キーツは足を止めた。
驚きと困惑が渦巻いた瞳を大きく見開き、敵である男の後ろ姿を、ただただ、見詰めた。
見慣れた背中がそこにある。
偉大だった、栄光に満ちていた男の背中が………彼が……。
「………クライブ…?」
ぽつりと、師である男の名を呟いた。
…その直後、真っ白な結われた髪が揺れた。
虚ろな目。
前髪から覗く、何も無い、光をも遮る空虚な瞳が、キーツを映した。
「………なん……で」
どうしてクライブが?
どうして……王に剣を向けている?
どうして………。
クライブはすっとキーツから視線を外し、低い、小さな声で言った。
「―――…ゴーガン……あの子供を始末しろ」
真っ直ぐ伸びた細身の長身。
握られた長い剣。
闇に溶け込む真っ黒な軍服。
肌に感じるピリピリとした殺気。
………真っ白な……長い髪。
キーツの足が少しずつ……速度を緩めていった。
その距離およそ10から20メートル。
キーツは足を止めた。
驚きと困惑が渦巻いた瞳を大きく見開き、敵である男の後ろ姿を、ただただ、見詰めた。
見慣れた背中がそこにある。
偉大だった、栄光に満ちていた男の背中が………彼が……。
「………クライブ…?」
ぽつりと、師である男の名を呟いた。
…その直後、真っ白な結われた髪が揺れた。
虚ろな目。
前髪から覗く、何も無い、光をも遮る空虚な瞳が、キーツを映した。
「………なん……で」
どうしてクライブが?
どうして……王に剣を向けている?
どうして………。
クライブはすっとキーツから視線を外し、低い、小さな声で言った。
「―――…ゴーガン……あの子供を始末しろ」

