亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~




稽古時に持つ軽い木刀とは、訳が違う。

本物の剣は金属の塊で、片手でずっと握っているとだんだん手がつってきた。

何度も持ち替えながら、半ば引きずる様にキーツは走った。






真っ暗な廊下の彼方に、久方振りに見た眩しい明かりが一点。


………謁見の間だ。



扉は完全に開いている。





そしてその明かりに照らされ、ぼんやりとしたシルエットが床から生えていた。



扉の前に………三人。





部屋の奥。神々しい玉座の前に………女性が……。



はっきりと、キーツは瞳に映した。


………王だ。

カルレット王がいる。

佇む王の腕の中に……。












―――彼女がいた。















―――ローアン……。



―――ローアン…!











二人は向かいに立つ三人の人影に対し、明らかに敵対している様だった。



反逆者…!!




キーツは息を切らして懸命に走った。

剣の切っ先が何度も床を掠った。






………一体………誰が……。






誰がこんな………惨いことを!






………皆を………。







………父を……!!