稽古時に持つ軽い木刀とは、訳が違う。
本物の剣は金属の塊で、片手でずっと握っているとだんだん手がつってきた。
何度も持ち替えながら、半ば引きずる様にキーツは走った。
真っ暗な廊下の彼方に、久方振りに見た眩しい明かりが一点。
………謁見の間だ。
扉は完全に開いている。
そしてその明かりに照らされ、ぼんやりとしたシルエットが床から生えていた。
扉の前に………三人。
部屋の奥。神々しい玉座の前に………女性が……。
はっきりと、キーツは瞳に映した。
………王だ。
カルレット王がいる。
佇む王の腕の中に……。
―――彼女がいた。
―――ローアン……。
―――ローアン…!
二人は向かいに立つ三人の人影に対し、明らかに敵対している様だった。
反逆者…!!
キーツは息を切らして懸命に走った。
剣の切っ先が何度も床を掠った。
………一体………誰が……。
誰がこんな………惨いことを!
………皆を………。
………父を……!!

