「―――リネット様!!」
「―――姫様!!」
「――この外道が!!」
ライマンに押さえ付けられ、身動きが取れないでいた騎士団の兵士達は、リネットの死を目の当たりにし、激怒した。
その瞬間、首筋にライマンの鋭い牙が一斉に食い込んだ。
声を上げることも出来ず、兵士達は次々に絶命していった。
「―――うるさい連中だ………」
男はそう言って再度カルレットに向き直った。
カルレットはすっと、また玉座から降りようとした。
囲んでいた敵兵士が行く手を阻もうと剣先を向けてきた。
カルレットは無表情で………兵士を睨んだ。
「―――お退きなさい」
凛とした声と共に、カルレットの周りの空気が一瞬歪んだ。
瞬間、敵兵士は目に見えない力で玉座の階段から後方へ吹き飛ばされた。
敵兵士はなんとか上手く受け身をとったが、何故か身体が動かない様だった。
「―――魔法ですか。……王族の黒の魔力は恐ろしい……。受けた者は命を削られると聞きますが………」
男はレンズをずらして……笑みを浮かべた。
「………使う側も命が削れるとか……」
「―――博識ですのね………ええ…そのとおりです……」

