ローアンは震えるか細い声で、耳元で囁いた。
聞こえてくる荒い呼吸は、何度も途切れた。
「―――ほら………ね………ローアン」
埋めた顔は見えないが、リネットは笑っている様な気がした。
「―――何でも気が……早くて………乱暴で………これだから……殿方は………」
リネットの身体が急に重くなった。
解けた茶色の髪が、さらさらと肩から流れ落ちた。
「………殿方は…………………嫌いなの………………………分かった…?………………ローアン……………」
リネットの両腕が、力無く落ちた。
ローアンの肩に頭を預けたまま、リネットは動かなくなった。
動かなくなった。
動かなく…。
「………お姉様………お姉様…………リネット……お姉……様…」
やがてはその温もりも消え失せてしまう姉を、ローアンは天井を見上げてぎゅっと抱き締めた。
押さえられない感情が、熱い涙となって溢れた。
止まらない。
涙が、止まらない。
「―――……なん…で…」

