背丈の高い細い姉。
姉妹の中で一人だけ違う茶色の髪。
彼女の目付きの鋭い大きな瞳は、多くの男性を一時は虜にし、うろたえさせる。
姉思いの優しい姉だった。
国のために出来る事は何かといつも考えていた。
尊敬していた。
素敵な姉。
たった一人のリネットという姉。
そんなリネットが生まれて初めて、今…………自分を抱き締めてくれていた。
暖かい姉の腕。
小刻みに震える姉の腕。
痛みに堪える姉。
………リネットはローアンを庇って、背中を深く斬られていた。
肩から腰にかけて伸びる真っ赤な切り口から、姉の血が静かに、滝の様に、流れていく。
ローアンは呆然としていた。
自分を包んでいる彼女の両腕から、少しずつ力が抜けていく。
それが嫌で、ローアンはひしと姉の身体を支えた。
「―――リネット…!?」
カルレットの悲痛に満ちた叫び声が響いた。
支えるリネットの身体が、徐々に傾いてきた。
立つこともままならないリネットは、ローアンに身を預けた。
「―――お姉様……」

