亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

揺れ動くスカイブルーの瞳に、片目のレンズ越しで、冷たいエメラルドの眼光が突き刺さった。



ローアンは息を呑んだ。





「―――順序からすると……この中では…まずは第三王女からでしょうか………」


無感情な冷たい声で男は言った。

ローアンはゆっくりと立ち上がり、おぼつかない足取りで後退した。


隣りの大柄な男が笑みを浮かべた。






「―――殺れ」














目の前が暗くなった。


動けずにいるルアとローアンの間に、敵兵士の一人が立っていた。

兵士は深く被った帽子の影から、ローアンをじっと見下ろしていた。










―――逃げられない。














視界の隅で振り翳される血塗れの剣。

その鋭利な切っ先が頭上に影を落とした時……………ローアンは死というものを感じた。








死を迎えるつもりは無い。

だが、抗えないのだ。







抗う力を持たない、弱い子供なのだ。























―――ローアン。







声が聞こえた。


姉の声だ。








―――リネットの…。








リネットは目の前にいた。