ついさっきまで、扉の前で横一列に並んでいた敵兵士達が、一瞬で血の海に立っていた。
足下に転がる真っ赤な生首をブーツの爪先で蹴り上げ、帽子を深く被り直していた。
言葉も出ない。
人を人と見ない、あまりにも残酷な…。
「―――なんて事を…!」
恐怖よりも憤りが勝った。
カルレットは玉座から降りようとした。
「……動くんじゃねぇよ」
大柄な男がそう呟くと同時に、玉座の周りを敵兵士が数人囲んだ。
踏み止どまるカルレット。
「………キングの駒は無駄に動くものではありませんよ。………順序というものがあります」
ローアンはルアにしがみついたまま立てずにいた。
ルアは力無く唸り声を上げるだけだ。
敵兵士達を統率している二人の男を、ローアンはただただ凝視するしかなかった。
ふと、その二人の背後の暗闇に、ぼんやりとした人影が見えた気がした。
あの男だ。
あそこに………あの白髪の男が立っているのだ。
恐怖。
ローアンは泣きそうになるのを、唇を噛んで堪えた。
怖い。
嫌。
足下に転がる真っ赤な生首をブーツの爪先で蹴り上げ、帽子を深く被り直していた。
言葉も出ない。
人を人と見ない、あまりにも残酷な…。
「―――なんて事を…!」
恐怖よりも憤りが勝った。
カルレットは玉座から降りようとした。
「……動くんじゃねぇよ」
大柄な男がそう呟くと同時に、玉座の周りを敵兵士が数人囲んだ。
踏み止どまるカルレット。
「………キングの駒は無駄に動くものではありませんよ。………順序というものがあります」
ローアンはルアにしがみついたまま立てずにいた。
ルアは力無く唸り声を上げるだけだ。
敵兵士達を統率している二人の男を、ローアンはただただ凝視するしかなかった。
ふと、その二人の背後の暗闇に、ぼんやりとした人影が見えた気がした。
あの男だ。
あそこに………あの白髪の男が立っているのだ。
恐怖。
ローアンは泣きそうになるのを、唇を噛んで堪えた。
怖い。
嫌。

