亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「―――リネット…前に出てはなりません。………おとなしくしていなさい」

カルレットはリネットに目配せしながら言った。

「………勇ましい事だ………親子揃って…」

「……何ですって……?」

………男の言った一言が、妙に引っ掛かった。
しかし、男はそれ以上は触れなかった。

「………真の革命とは……その様な生易しいものでは無いのですよ…王。………その様な事……国を治める貴女自身が一番分かっていらっしゃる筈……違いますか?」

色素の薄い金髪から覗く鋭い瞳が、妖しく光った。



「―――革命とは…………………………………一から全て壊すことから始まるのです」






玉座にいるカルレットの頬に、生暖かいものが付着した。

指先で拭うとそれは……自分のものではない鮮やかな血だった。






高い玉座の回りは、血飛沫が舞っていた。


純白の玉座が、足下から真っ赤だ。








寄り集まっていた大臣達。







カルレットの瞳に映った彼らは皆、首が無かった。





滑らかな切断面から、絶え間なく、行き場の無い血液が迸る。







玉座の下は、血の海が広がった。






ローアンはガクガクと震えていた。