亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「―――ローアン!!」

急きょ兵士達が慌てて開けた扉から、真っ白な獣が滑り込む様に入って来た。

ザザザ―…と着地した獣の背中には、ローアンの姿があった。

リネットは裾を摘んで駆け寄り、ローアンの両肩を掴んで前後に激しく揺らした。

「………ローアンったら何処へ行っていましたの!!私が一体どれだけ汗水垂らして探し回ったとお思い!?………このお転婆!!」

「お…姉様…ごめん…なさい…目、目が回…る」

パッとリネットはローアンを放すと、目を回してふらふらとルアに倒れ込んだ。


リネットは今にも泣きそうな顔でローアンを睨む。

「エルシアお姉様もどうなさっているのか分からない時に……貴女までいなくなられたら…………………馬鹿!お馬鹿な子!!」

………こんな姉を見たのは初めてだ。

本当に申し訳なく感じ、ローアンはしゅんと頭を垂れた。

「……お母様…………敵が……あれは反逆者なのですか?………ここに来るまで……たくさん騎士団の方々が………」

ローアンの言葉を聞きながら、玉座の上で、カルレットはただ無言だった。



元老院の一人がしわがれた笑い声を響かせた。


「………一時の有余も御座いませぬなぁ……王よ………」