………。
「―――総団長」
背後から低い声が自分を呼んだ。
振り替えると、一階を見張っている筈のゴーガンがそこに立っていた。
広間の襲撃を終え、先程合流したベルトークが怪訝な表情でゴーガンを見てきた。
「………下の階を見張っておけと言った筈だが?」
「…総団長の命令じゃねぇだろうが。てめぇの指図なんぞ受けねぇよ…」
ゴーガンは唾を吐いた。
肩に抱えた巨大な片刃の剣には、付いてまだ新しい血が滴り落ちていた。
「………一人………怪我人抱えた妙な老いぼれを逃がしました。ライマンを追わせましたが、逃げ足が速かったのか、見失った様です」
ベルトークの眉間の皺が更に深くなった。ゴーガンは構わず報告する。
「それと………ここに来る際、ライマンを倒していた貴族の野郎を一人殺ってきました」
「―――ご苦労」
クライブはそれだけ言って前に向き直った。
どんどん崩れていく兵士の壁。
謁見の間はもうすぐだ。
「………二人とも………中に入る際は………白い犬に気をつけろ」
ベルトークとゴーガンは無言でクライブを見た。
「………白い犬?」
クライブは口元を緩めた。
「………ああ。…聖獣だ」

