―――ブンッ……
青い光は一瞬で広がり、城内を包んだ。
兵士達が振り下ろす剣が、ピタリと止まった。
丸い玉の血飛沫が、屈折した光が、揺れる髪が、兵士達に食らいつく獣の牙が…………………全て止まった。
時が止まった。
この静止画の様な空間で動いているのは、ルアとローアンのみ。
時間を止めるなど………。
神の使いとされる聖獣だからこその技。
こんなこと、他に魔の者達くらいにしか出来ない。
止まってしまった奇妙な時間の中をルアは走り抜けた。
正面に立つ白髪の男の頭上を飛び越えた。
その瞬間、ローアンは男の顔を見た。
垂れた前髪の間から覗く虚ろな二つの目。
光の無いガラス玉の瞳が。
………ギロリとローアンを捉えた。
―――っ…!?
ルアは人込みを掻き分けて謁見の間へ向かった。
男の姿が小さくなり、やがて視界から消えた。
―――ブンッ……と青い光が消えた。
同時に、全てが動き始めた。
何事も無かったかの様に繰り返される乱闘。
その最後尾で、クライブはぼんやりと虚空を見詰めた。

