「―――でもっ!」
「――早く行け!!」
キーツと同じ黄金色と火焔の色を持つ異なる瞳のオッドアイ。
罵声が飛ぶと同時に、ルアはまた走りだした。
「……ゲイン侯爵!!」
その背中はすぐに小さく、遠くなっていった。
………皆……立ち向かっていく。
そして……死んでいく。
私なんかのために……こんな城のために……。
(………もう嫌……!)
どうして王族として生まれてきたのだろう。
どうして王族は………。
果てしなく長い廊下を進む。
……進めば進むほど…視界の隅に騎士団の兵士の死体が増えてきた。
顔を上げて前方を見ると、敵の兵士と騎士団の兵士が激しく刃を交えていた。
黒い獣もたくさんいる。
その後ろに、独りだけ傍観している人間がいた。
真っ白な長い髪。
長身で、黒い軍服で身を包んだ男。
…………あの男だ。あの男が………柱だ。
ローアンは直感的にそう感じた。
生きている亡霊……。不思議な存在感を醸し出すその後ろ姿から、身の毛がよだつ不気味な恐怖が伝わってきた。
その戦場に距離を詰めながら、ルアは角の玉を光らせた。
弧を描いた青い光りが辺りに広がる。

