亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「―――でもっ!」

「――早く行け!!」

キーツと同じ黄金色と火焔の色を持つ異なる瞳のオッドアイ。

罵声が飛ぶと同時に、ルアはまた走りだした。


「……ゲイン侯爵!!」

その背中はすぐに小さく、遠くなっていった。




………皆……立ち向かっていく。
そして……死んでいく。

私なんかのために……こんな城のために……。


(………もう嫌……!)

どうして王族として生まれてきたのだろう。
どうして王族は………。








果てしなく長い廊下を進む。

……進めば進むほど…視界の隅に騎士団の兵士の死体が増えてきた。


顔を上げて前方を見ると、敵の兵士と騎士団の兵士が激しく刃を交えていた。

黒い獣もたくさんいる。




その後ろに、独りだけ傍観している人間がいた。


真っ白な長い髪。

長身で、黒い軍服で身を包んだ男。






…………あの男だ。あの男が………柱だ。

ローアンは直感的にそう感じた。




生きている亡霊……。不思議な存在感を醸し出すその後ろ姿から、身の毛がよだつ不気味な恐怖が伝わってきた。

その戦場に距離を詰めながら、ルアは角の玉を光らせた。

弧を描いた青い光りが辺りに広がる。