暗くてよく見えなかったが、ようやく闇に慣れてきたキーツの目に、それは飛び込んで来た。
「――――エル……シア様……」
アレクセイは手を止めた。
二人の視線の先。すぐ側に、蝋人形の如く真っ白な、倒れたエルシアがいた。
豊かな金髪の髪が、床に広がる血を吸って赤く染まっていた。
「なんと…………エルシア姫様………痛々しいお姿に…」
わなわなと震えながらアレクセイはエルシアの手を取った。
―――脈は無い。
その手は、悲しいほどひんやりと冷たかった。
「………王族を………殺めるとは………!…………気違いにも程がある………!!」
動かない物となってしまった抜け殻のエルシア。
………つい数日前まで……あんなに笑っていたのに。
結婚式を楽しみにしていたのに。
………彼女はもう………もう……。
ちらりとオーウェンに目をやる。
閉じられた両目の端に、玉の様な涙が溜まっていた。
―――皆………死んでいく。
―――皆…。
―――………ローアン……!
キーツはその場で立ち上がった。

