ベルトークは再度、正面の絵画に視線を移す。
「―――このフェンネル王53世は…お幾つの時でしたか?」
「………王位を継いだ時だ。………20の時の姿だ………」
ベルトークは絵画から目を背けた。
無言で、男の背中に向かって頭を深々と下げた。
「―――では………失礼致します………総隊長………」
ベルトークの気配はすぐに消えた。
「――――……カルレットよ」
今は亡き者の名を口にする。
光を絶やさない女性の瞳は、何も語らない。
何も。
「――――私が憎いか…?」
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