亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


不気味だった。







あきらかにおかしいその光景に、何度も何度も瞬きを繰り返しながら、かのそびえ立つ城を映し続けた。



風が前髪を揺らし、視界を遮る。しかしキーツは振り払おうともしなかった。


「―――アレクセイ……あれ…おかしいよ……」

「………キーツ様……嫌な予感が致します。………城に着いた後は、私から離れませぬように………」


ガタガタと揺れる車内。城に向かって猛スピードで走る車の窓から、キーツはただ唖然と眺めていた。


アレクセイはその隣りで、持ち物から古びた剣を取り出していた
騎士団に属していた若い頃の剣。
薄汚れた鞘をそっと握り締め、だんだんと近付いていく城を見つめた。


そう…おかしい。


丘の上の堂々たる純白の城。
今日は記念すべき結婚式。

既に式は始まり、盛大な賑わいが響く明るい城。















―――真っ暗だ。









城門にある筈の松明の明かりもなければ、丘の下の屋敷まで明かりが無い。

城内には僅かにちらほらと光が見えるが………………不自然だ。






そして恐ろしいほど、辺りは静寂に包まれていた。

もう老いてしまった騎士の勘。

……体が震えた。