不気味だった。
あきらかにおかしいその光景に、何度も何度も瞬きを繰り返しながら、かのそびえ立つ城を映し続けた。
風が前髪を揺らし、視界を遮る。しかしキーツは振り払おうともしなかった。
「―――アレクセイ……あれ…おかしいよ……」
「………キーツ様……嫌な予感が致します。………城に着いた後は、私から離れませぬように………」
ガタガタと揺れる車内。城に向かって猛スピードで走る車の窓から、キーツはただ唖然と眺めていた。
アレクセイはその隣りで、持ち物から古びた剣を取り出していた
騎士団に属していた若い頃の剣。
薄汚れた鞘をそっと握り締め、だんだんと近付いていく城を見つめた。
そう…おかしい。
丘の上の堂々たる純白の城。
今日は記念すべき結婚式。
既に式は始まり、盛大な賑わいが響く明るい城。
―――真っ暗だ。
城門にある筈の松明の明かりもなければ、丘の下の屋敷まで明かりが無い。
城内には僅かにちらほらと光が見えるが………………不自然だ。
そして恐ろしいほど、辺りは静寂に包まれていた。
もう老いてしまった騎士の勘。
……体が震えた。

