「………誰かがやらねば。……このアレスの世界をより良くするため……私は前々からそう考えておりました。…………エルシア、リネット、ローアンの三人の結婚を見守った後、私は玉座を降ります。………………国の統治は次の王に任せ、私は国交に専念致します」
淡々と述べる王の発言に、案の定大臣達は驚きを隠せないでいた。
同じ様に並ぶ元老院らはただ長い髭を撫でているだけだ。
「………しかし王よ!………国交とおっしゃられましても………どの様に………」
「……それならもう決めております」
カルレットは頬杖をついた。
「………まずはバリアンに国使を送ります。あちらの王に国交を求めるのです。………多分すぐに断られるでしょうが、それは予想の範囲内。本当の目的は、デイファレトの行方不明の王族………その捜索の承認です。今やデイファレトはバリアンの手中。承認の後…………こちらで王族を捜します」
………あの極寒の……異郷の地で王族を?
生きているのか死んでいるのかも分からない人間を捜す…。
容易ではない。
「………大きく出られましたな……王よ」
重々しい皺だらけの元老院の一人が呟いた。

