―――いつ正面に移動した?
―――いつ刺された?
それがあまりにも一瞬の事で……何が起こったのか、理解出来なかった。
…ゾッとする冷たいエメラルドグリーンの眼光は、ゴミか何か…下等な物を見る様に、オーウェンを見下ろしていた。
「………遅いのだ貴様は…………何もかも…」
―――ズシュッ……。
長すぎる細身の剣が、思い切り引き抜かれた。
間を置いて、貫かれたオーウェンの胸部からブシュッと血が吹き出した。
…………ぐらりと、オーウェンの身体が傾いた。
腕に抱えていたエルシアの身体はずるりとずれ落ち、その脇にオーウェンは俯せに倒れた。
剣にこびりついた血を拭い、ベルトークは足下に横たわる二人の人間を静かに見下ろした。
……男の方はまだ意識がある。
……しかし……それも時間の問題だろう。
ベルトークは踵を返して扉へ向かった。
凄惨な地獄絵図と化した真っ赤な大広間。
賑やかだったこの空間は、外の夜の闇に飲み込まれ、食われた。
―――大広間の扉は、低い唸り声を上げて口を閉じた。

