後方に大きくくるくると回転しながら跳び下がり、一時間距離を取った。
怒りを露にする男は、視線をベルトークから傍らに倒れているエルシアに移した。
オレンジの瞳には驚きと哀しみが滲んでいた。
「………エルシア……!」
そう呟き、自分の存在を無視して男はエルシアの動かない身体を抱き寄せた。
………エルシアの見開かれたままの眼から、見る見るうちに光が消えていく。
………この男………もしや……相手のオーウェン=ヴァンニでは…。
姿を見たことは無いが、聞いたことのある容姿とほぼ一緒だ。
……まだいたのか。
「……エルシア……エルシア…?」
オーウェンの腕の中で力無く横たわるエルシア。
揺れ動く瞳がオーウェンを捉えると、血を流す赤い唇が、微かに動いた。
………もう……遅い。
エルシアは……助からない。
………血が流れ過ぎている…。
「……エルシア………嘘だろ……なぁ………エルシア…!」
その時エルシアは…。
…ふっと…………微笑んだ。
「―――……オー………ウェ………ン……」

