亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


後方に大きくくるくると回転しながら跳び下がり、一時間距離を取った。

怒りを露にする男は、視線をベルトークから傍らに倒れているエルシアに移した。

オレンジの瞳には驚きと哀しみが滲んでいた。


「………エルシア……!」

そう呟き、自分の存在を無視して男はエルシアの動かない身体を抱き寄せた。


………エルシアの見開かれたままの眼から、見る見るうちに光が消えていく。






………この男………もしや……相手のオーウェン=ヴァンニでは…。

姿を見たことは無いが、聞いたことのある容姿とほぼ一緒だ。



……まだいたのか。



















「……エルシア……エルシア…?」

オーウェンの腕の中で力無く横たわるエルシア。

揺れ動く瞳がオーウェンを捉えると、血を流す赤い唇が、微かに動いた。

………もう……遅い。
エルシアは……助からない。

………血が流れ過ぎている…。



「……エルシア………嘘だろ……なぁ………エルシア…!」
















その時エルシアは…。


…ふっと…………微笑んだ。













「―――……オー………ウェ………ン……」