亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


エルシアが言った言葉に、男はにやりと口元を歪めた。


………冷たすぎる笑み。悪寒が全身を駆け巡った。



「―――さすがは第一王女。利発な方とは聞いていたが……どうやら噂どおりか。動揺さえしないとは………話が早い」


男はすっと手を前へ伸ばした。
真っ黒な黒煙が見えたかと思うと、男の手にはいつの間にか長い細身の剣が握られていた。



エルシアは無言で剣を構えた。

「……いつかはこんな時が来ると……予感しておりました。………不満を抱かない民が……いるわけない………だから………変えていきたかった…」


愚かな狂王…。
彼のしてきた悪政を語り継ぎ、正しい道へ直していくのが………我ら子孫の使命。

王族の掟。





「………でもまさか…………こんな形で来るとは。………………味方から……」

忠誠を誓う騎士達。



………一番側にいて、一番信頼出来た家来から………裏切られた。


「………恨むなら王族に生まれてきた事を恨めば良い。………………私達は……革命を起こす。………国を破滅に導く王族には……用は無い………お分かり頂けるだろうか?………………エルシア様………これは天誅なのですよ。………全ての民の………望みだ」