全身から力が抜け、握っていた剣を落とした。
甲高い金属音が木霊する。
「―――あ……う…」
ぎりぎりとエルシアの首に食い込んでいく。小さな口からは、途切れ途切れの声が漏れた。
「―――剣を持っても……所詮は女か」
意識が遠のいていたその時、エルシアの身体は強い力で投げられた。
床に叩き付けられたエルシア。
ゴホゴホと苦しそうに咳込み、何度も深く呼吸を繰り返した。
肩で息をしながら、エルシアは傍らの剣を手に取り、床に切っ先を突き立てて支えにしながらゆっくりと立ち上がった。
まだ朦朧とした状態で、向かいに佇む男を見据えた。
灰色の軍服。
色素の薄い、ウェーブの掛かった長い金髪。色白の端整な顔立ちに、片目だけのレンズが妖しい光を放っていた。
―――まだ若い。しかし………その辺の兵士とは比べ物にならない程……並の殺気では無い。
「………国家……騎士団………?」
灰色の軍服は、その最高戦力として名高い先鋭部隊である証。
……我が国に忠実なる国家騎士団が…………何故?
―――………いや…。
エルシアは息を整えながら、無表情で男を見詰めた。
「―――反逆……なのね」

