亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~




「………ルア、何処に行くの?……こっち?」


ローアンは大広間へ向かうつもりだったが、ルアがそれを許さなかった。

ずっと逆方向に裾を引っ張る。

………危険なのだろうか。




エルシアやリネットの事が不安で仕方なかったが…。


「………お母様の所ね?……そうなのね、ルア…」

ルアが導こうとしている方は、玉座のある謁見の間だ。

城の最奥にある、あの部屋。


………二人も向かっているのかもしれない。


……廊下には、あの黒い獣がうろうろしていた。

……見つからない様にしなければ…。



ローアンは少し前に進む度に、柱の後ろに隠れた。




何処からか、足音が聞こえてきた。

一人廊下を走っている。

ローアンは柱の影にルアと一緒に身を潜めた。




………すぐ隣りを、剣を握った男が駆けて行った。
金髪の若い男だった。息を切らしながら広間の方へ向かって行った。

………何処かで見たことのある人だ。
……今のは、エルシアお姉様の………。



ルアが鼻先で立つように促した。

一定の場所にずっとはいられない。

ローアンはルアを撫で、再びそっと移動し始めた。











エルシアは広間の扉を開けた。