「………ルア、何処に行くの?……こっち?」
ローアンは大広間へ向かうつもりだったが、ルアがそれを許さなかった。
ずっと逆方向に裾を引っ張る。
………危険なのだろうか。
エルシアやリネットの事が不安で仕方なかったが…。
「………お母様の所ね?……そうなのね、ルア…」
ルアが導こうとしている方は、玉座のある謁見の間だ。
城の最奥にある、あの部屋。
………二人も向かっているのかもしれない。
……廊下には、あの黒い獣がうろうろしていた。
……見つからない様にしなければ…。
ローアンは少し前に進む度に、柱の後ろに隠れた。
何処からか、足音が聞こえてきた。
一人廊下を走っている。
ローアンは柱の影にルアと一緒に身を潜めた。
………すぐ隣りを、剣を握った男が駆けて行った。
金髪の若い男だった。息を切らしながら広間の方へ向かって行った。
………何処かで見たことのある人だ。
……今のは、エルシアお姉様の………。
ルアが鼻先で立つように促した。
一定の場所にずっとはいられない。
ローアンはルアを撫で、再びそっと移動し始めた。
エルシアは広間の扉を開けた。

