亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



「―――お願いだから……言う事を聞いてちょうだい……リネット……………………ローアンを探して……………………お母様の所へ行きなさい……………絶対……絶対よ……」


エルシアは目頭が熱くなっていくのを感じた。


…………なんとなくだが………分かるのだ。

…………何か……恐ろしい事が起きている。

………皆…死ぬ。

………私も危ない。

………本能がそう言っていた。



「………エルシアお姉様………?」


怪訝な表情を浮かべるリネット。何故姉がこんなにも必死なのか……泣きそうな顔を向けているのか……。


「……………リネット………私から見れば………貴女はどんなに大きくなっても……大人びても…………………小さな妹なの。……………………さあ……………ローアンを探して………」

エルシアはすっと立上がり、踵を返して大広間の方へ向かった。


「………お姉様!」


何処か遠くへ……二度と会えない様な遠く彼方へ行ってしまいそうな姉の背中に、リネットは震えながら、ただ叫んだ。







どんなに叫んでも、名前を呼んでも………………エルシアは一度も振り返らなかった。