「………なんか…信じらんない………うわぁ…すっごく嬉しい……手が震えてるよ…」

湧き上がる喜びが大きすぎて、どう表現すればいいのか分からない。
イブは溢れる嬉し涙を拭うので精一杯だった。

「―――…長かったね」

隣りでグズグズと泣きじゃくるイブを小突きながら、ダリルは溜め息混じりに言った。

長かった。
何のためにこのアレスの使者に入ったのかと思うくらい、激しい闘志を持て余してきた。
………やっとだ。やっと………………。


「―――…本当………長かったわね…」

相変わらずの優しい笑み。暖かいマリアの微笑は、何処か憂いを秘めていた。


「―――…襲撃は約二週間後。…我らは第3部隊と共に後衛を任せられた………報告はここまで。また後日集合をかける。………訓練を怠るな」

「「「――御意」」」

三人は揃って敬礼をし、“闇溶け”で消えた。


独りになったトウェインは、椅子の背も垂れにゆっくりと身体を預けた。



いつの間にか、長い蝋燭は半分まで溶けていた。





―――何故だろうか。





―――今すぐにでも、あの孤城に行きたい。





―――…行きたい。









―――…私は…。