亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~







扉の正面に立っていた兵士が………突然、二つに割れた。



鏡の様な滑らかな赤い切断面が見えたかと思うと、噴水の如く、真っ赤な血が吹き出した。





生暖かい血飛沫を、周りの兵士達は呆然とただ浴びていた。













………何だ?














………何が起き…










「―――行け」


ベルトークが手を振りかざした途端、
開き切っていた扉の向こうの闇から、真っ黒な獣が一斉に飛び掛かってきた。






「―――あ………うわあああああ!?」

「ひっ!!」

「………ライマン!?」



牙をむきだしにして向かって来たのは、魔獣ライマンだった。

先鋭部隊では、“闇溶け”に必要な灰色の軍服の材料となるライマンを戦力としてでも活用するべく、現在実験段階であると聞いていた。



………しかし、そんな段階ではない。

………扱いこなしている。あのなかなか人間に懐かないライマンを。
……道具として。



約十匹のライマンは混乱する兵士達に襲いかかり、腕や足、首に牙を立てた。


そこら中から悲鳴が聞こえる。





そんな中を、ベルトークを先頭に先鋭部隊は次々と侵入していった。