亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


夜の闇が扉の隙間に漏れて行く。

暗がりの中に、ぼんやりと人影が浮かんでいた。

二、三十人程だろうか。予想していたよりも多くの兵士達がそこにいた。

城壁外に配置させていた兵士も戻って来たのだろう。

人一人入れるくらいまで扉が開いた。



すぐさま駆け寄った兵士の正面には、見覚えのある顔があった。



「――これは……リンクス副団長!影の襲撃とは……一体どうなされたのですか!確か先鋭部隊は城外の森付近に配置でしたが……」

本部隊と先鋭部隊は、今夜は別行動だった筈だ。

目の前のこの無表情な男はその問いには答えず、レンズをずらしながら兵士をじっと見ていた。


恐ろしく長い細身の剣が、その右手に握られていた。

「………副団長…」







「ご苦労」















一瞬、何が起こったのか理解出来なかった。






痛みを超えた痛み。激痛を超えた激痛が、全身を走った。


視界が揺らぐ。




右目と左目の視界が………ずれている。





………この冷血な男は……薄い笑みを浮かべていた。
ゾッとする……あの冷たい笑み。








意識など無い。







あるのは、消えゆく意識の名残だけ。