夜の闇が扉の隙間に漏れて行く。
暗がりの中に、ぼんやりと人影が浮かんでいた。
二、三十人程だろうか。予想していたよりも多くの兵士達がそこにいた。
城壁外に配置させていた兵士も戻って来たのだろう。
人一人入れるくらいまで扉が開いた。
すぐさま駆け寄った兵士の正面には、見覚えのある顔があった。
「――これは……リンクス副団長!影の襲撃とは……一体どうなされたのですか!確か先鋭部隊は城外の森付近に配置でしたが……」
本部隊と先鋭部隊は、今夜は別行動だった筈だ。
目の前のこの無表情な男はその問いには答えず、レンズをずらしながら兵士をじっと見ていた。
恐ろしく長い細身の剣が、その右手に握られていた。
「………副団長…」
「ご苦労」
一瞬、何が起こったのか理解出来なかった。
痛みを超えた痛み。激痛を超えた激痛が、全身を走った。
視界が揺らぐ。
右目と左目の視界が………ずれている。
………この冷血な男は……薄い笑みを浮かべていた。
ゾッとする……あの冷たい笑み。
意識など無い。
あるのは、消えゆく意識の名残だけ。

