亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



「何だ!?………外から法螺貝の音が……!」

「最高警報音だ……何かあったんだ……!」

「影か…?………松明の火で近付けない筈じゃ………」

「おい!扉を開けろ!!外で誰かが応戦しているかもしれない!」

城内の、出入り口である巨大な扉の前で、国家騎士団の兵士達は混乱していた。

城壁外から丘の下、城へと通じる階段、そしてこの扉の向こう側まで、兵士を配置させていた筈だった。


………どうやってくぐり抜けて来た?



「………しかし……侵入されたりでもしたら……」

開けるか開けまいか苦渋の決断を迫られていると、外から物音が聞こえた。


………数人の足音。人の気配。






「―――影の群れによる襲撃を受けた。城壁の外にまだいる。応戦を頼みたい。………怪我人もいるのだ。ここを開けて欲しい」


戦ってきた直後なのか、互いの剣が交差する小さな鈍い音が聞こえる。


「大丈夫か!?………待っていろ……すぐに開ける。おい、鎖を引け!!急げ!!」

ジャラジャラジャラ……と長く太い鎖が左右から引かれ、ギギギ…と重苦しい音を鳴らしながら扉は動き出した。







だんだんと開いていく扉。


松明の明かりなど無い真っ暗な闇が見えた。