亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



(………お母様……貴女の中にいるのは結局………誰なの……)


親子でありながら、我が母の心中が見えない。
………そう……やはり血は繋がっていても……他人なのだ。



「エルシアお姉様……普段着で広間に出るつもりですの?」

なかなか着替えようとしないエルシアを見兼ねて、リネットが低い声で呟いた。

「……あら御免なさい。ぼーっとしてたわ」

にっこりと笑い、エルシアは衣装に手を掛けた。



















その瞬間、耳を劈く法螺貝の音が、城中に響き渡った。





低い低い、重みのある貝の音。




―――注意・警戒せよ、という意味を表す音ではない。











―――危険、を表す音だった。