(………お母様……貴女の中にいるのは結局………誰なの……)
親子でありながら、我が母の心中が見えない。
………そう……やはり血は繋がっていても……他人なのだ。
「エルシアお姉様……普段着で広間に出るつもりですの?」
なかなか着替えようとしないエルシアを見兼ねて、リネットが低い声で呟いた。
「……あら御免なさい。ぼーっとしてたわ」
にっこりと笑い、エルシアは衣装に手を掛けた。
その瞬間、耳を劈く法螺貝の音が、城中に響き渡った。
低い低い、重みのある貝の音。
―――注意・警戒せよ、という意味を表す音ではない。
―――危険、を表す音だった。

